じんの読書ノート

まぁ、とりあえず本でも読みましょうか。

【32】道尾 秀介『向日葵の咲かない夏』

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。(「BOOK」データベースより)

すごい作品ですね。ストーリーもさることながら、著者のその悪魔的な筆力にも恐怖します。

「僕だけじゃない。誰だって、自分の物語の中にいるじゃないか。自分だけの物語の中に。その物語はいつだって、何かを隠そうとしてるし、何かを忘れようとしてるじゃないか」(p.443)

最後までミチオは生き残った。つまり、彼の物語(妄想)はまだ終わらないわけです。「だよな?、ミカ。」「そうだね、お兄ちゃん!」

S君、ミカ(産まれる前)、泰造爺さん、それに、自分の両親までも殺めるんですよ彼は!

あぁ、恐ろしい…。

ん?そういえば、あの先生は?

まぁ、いいか。ところで、S君の作文「悪い王様」は星新一さん風で面白かったですね。