じんの読書ノート

まぁ、とりあえず本でも読みましょうか。

【96】赤川 次郎『三毛猫ホームズの怪談』

西多摩の一角を開発したニュータウンの大団地で、子供が次々と謎の事故に見舞われた。一方、近くの旧村で、付近の住人から〈猫屋敷〉と呼ばれる家の女主人・石沢常代が、11匹の猫とともに何者かに斬り殺された。そしてさらに第2、第3の殺人が……。〈猫屋敷〉のまわりで次々と起る奇怪な事件を、おなじみ名探偵ホームズが鋭く推理する、楽しくてスリリングな長編ミステリー、第2弾。

 30年前に読んだ記憶がありまして、書店にてタイトルと表紙を見た瞬間、懐かしさがこみ上げてきまして、おもわず手に取った次第でございますが、内容はまったくといっていいほど覚えておりませんでした。赤川ミステリーのなせる業なのでしょう。

【95】赤川 次郎『死者の学園祭』

 武蔵野にある手塚学園。この一角にある立ち入り禁止の部屋に、3人の女子高生の姿があった。軽いいたずらを仕掛けるためだったのだが、彼女たちは気づかなった。背後に冷酷な視線があることを。そして、3人は次次と謎の死を遂げる―。クラスメイトの死に疑問を抱いた結城真知子は、1人で捜査に乗り出した。学園に忍び寄る恐怖の影に立ち向かう、女子高生探偵の活躍を描く青春サスペンス・ミステリー。 (「BOOK」データベースより)

 

 赤川次郎さんの作品を読むのは何十年ぶりだろう。あの頃の懐かしい匂いがします。物語のテンポ、文章のリズム、吸引力はさすがで、一瞬にしてその世界にいざなわれます。この作品はタイトルにもあるように、学園祭での演劇の中で連続殺人事件の全貌を明かすというところが斬新でしたね。

【94-1】工藤 かずや&浦沢 直樹『パイナップルARMY 1』

パイナップルARMY (Operation 1) (小学館文庫)

パイナップルARMY (Operation 1) (小学館文庫)

傭兵として世界各地で戦ってきたジェド・豪士。戦闘インストラクターとなった今でも、彼の周りには戦いが絶えない…。単なる戦闘ものではなく、戦争が残した傷あとにも注目したヒューマン・アクション。

  

 元傭兵のジェド・豪士。数々の戦場でその名を轟かせてきた伝説の兵士。今の彼の職業は戦闘インストラクター。自分は戦わない、ただ依頼人を戦闘のプロに仕上げるだけと言いつつも当然、結構危険な目に遭っている。戦場を生き抜いてきた彼の血が心を沸き立たせるのかもしれませんね。この作品にはジェド・豪士以外にも魅力的なキャラクターがたくさん登場するので、それも人気の理由でしょう。内容はかなりハードボイルドに仕上がっています。

「誰にだって命より大切なものはある‼︎」(p.24)

【93】ピエール・ルメートル『その女アレックス』

その女アレックス (文春文庫)

その女アレックス (文春文庫)

 

おまえが死ぬのを見たい―男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが…しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。イギリス推理作家協会賞受賞作。 (「BOOK」データベースより)

 

 なんてったってアレックスです。あれだけのことをしておきながら、拉致されたあげくに涙声で「なぜわたしなの?」はないでしょう。それに、ネズミを利用してロープを切るなんて!なんて頭がいいんでしょう!古典的にもほどがあります。それにしてもアレックスの生命力はハンパないっす。残虐性もハンパないっす。これも『復讐』のなせる業なのですね。では、なぜヤツを殺さなかったのか?さすがアレックス、クレイジーです。この本の評価が高いのが最大のミステリーです。

【92】筒井 康隆『ロートレック荘事件』

ロートレック荘事件 (新潮文庫)

ロートレック荘事件 (新潮文庫)

夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったかに見えたのだが…。二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。一人また一人、美女が殺される。邸内の人間の犯行か?アリバイを持たぬ者は?動機は?推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘う。前人未到のメタ・ミステリー。(「BOOK」データベースより)

 

 何なんでしょうか?この感じ。

 アガサ・クリスティアクロイド殺しでしたっけ?「えっ?俺かよ」みたいな衝撃。

 それにしても、せつない話ですね。典子さんの日記はヤバイです。苦しいです。

 最初から仕掛けられたトラップに気づかずに、終盤のある時、「お前、誰だよ?」と思わずツッコミを入れました。まんまと作者の術中にハマったわけです。

 おそらく映像化は完全に不可でしょうね。 いい作品です。