じんの読書ノート

まぁ、とりあえず本でも読みましょうか。

【91】エレナ・ポーター『新訳 少女ポリアンナ』

新訳 少女ポリアンナ (角川文庫)

新訳 少女ポリアンナ (角川文庫)

 

 両親を亡くした11歳のポリアンナは、気むずかしい叔母、ミス・ポリーのもとに引き取られた。ポリアンナはどんなに辛いことがあっても、その中に「嬉しい」ことを見つけるとたちまち元気になれる。そのお父さんとの約束、「嬉しい探し」ゲームは街中に広がり、ミス・ポリーや大人たちとの冷たい心を変えていった。ところがそんなポリアンナが交通事故にあってしまい…。涙と笑顔いっぱいの不朽の名作が、いよいよ新訳で登場。(「BOOK」データベースより) 

 

ポリアンナ症候群は現実逃避の超楽天主義者だが、ポリアンナこそが現実の厳しさに正面から向き合い、打ちのめされ、そしてそれを乗り越えてきた人間なのである。小さいころから父親と遊んだ『嬉しい探しゲーム』こそがこの厳しい現実を乗り越え生きぬく知恵でありヒントでもある。彼女の『ゲーム』は瞬く間に街中に広まり相乗効果でみんなが幸せになっていく。そんな中、ポリアンナを自動車ではねた人間も『嬉しい探しゲーム』をしたとでもいうのか?「ポリアンナが死ななくてヨカッタ、ウレシイ」とでも思ったのか?この物語は決してハッピーエンドではない。

ポリアンナに言わせればこうだ。「わたしがわたしをはねたドライバーでなくて嬉しいわ」


「あら、もちろん、言われた御用をしている間も、ずっと息はしてますとも、ポリーおばさん。だけどそんなの、生きているうちに入りません。眠ってる間もずっと息はしているけど、それは生きているんじゃないんです。生きてる、っていうのは、したいことをすることなの。表で遊ぶとか、本を読む(もちろん、自分一人でね)とか、丘に登るとか、お庭のトムおじいや、ナンシーとしゃべるとか、昨日通ってきたこのおもいっきりすてきな街の、建物や、人や、通りのはしからはしまで、どこからどこまで、何から何までを見つけ出すとか。そういうのを生きる、って呼ぶんです、ポリーおばさん。息をしているだけじゃ、生きてると言えないわ」(p.71)
 男女ともに必要なのは励ましである。人間の自然な耐久力は強くするべきであり、けして弱めてはならない。…人の欠点をくどくどあげつらうより、長所をほめてやるのがいい。型にはまった悪い習慣から連れだしてやろう。人が本気を出し、実行し、達成できるように本当のよりよい自分を教えてやろう…美しく、あきらめない、人の手本になれる性格は周囲への影響力が大きく、場合によってはひとつの街をまるごと変革できる…人間は頭と心に持つものを外に向けて広げる。ある人が優しく親切な気分になれば、その隣人もほどなく同じように感じはじめるはずだ。だがその人が声を荒らげ、しかめ面をし、あら探しをはじめるならば、隣人もしかめ面にはしかめ面を、それも利子までつけて返してくるだろう。…あるだろうと思って悪いことを探せば、必ず見つかる。だが良いことが見つかると信じて探せば、必ず手に入る…(p.262)

【90】野口 聡一『宇宙少年』

15歳の寺子屋 宇宙少年

15歳の寺子屋 宇宙少年

 15歳のころ、スペースシャトルの打ち上げをテレビで見た僕は、衝撃を受けました。「宇宙に行きたい!」僕は宇宙を目指す、「宇宙少年」になりました。夢を目指す道のりのなかでは、いろんなことが起きます。ときには、怖さや不安にかられることもあるでしょう。そうして夢をあきらめてしまう人もいるかもしれません。でも、怖さも不安も、その正体は自分自身の心のなかにあるのです―。夢を現実にした宇宙飛行士・野口聡一さんの言葉から、悩みや不安を乗り越えるヒントを見つけよう。(「BOOK」データベースより)

 

宇宙飛行士になりたいと思いはじめた十代のなかばから、実際に宇宙に行くまでに、僕はおよそ二十五年の年月をかけています。挫折やまわり道もしたけれど、すべてが夢に向かっていくエネルギーになりました。夢を目指す道のりのなかでは、いろんなことが起きるものです。ときには怖さや不安にかられることもあるでしょう。でも、怖さや困難に負けてしまうと、先に進めなくなってしまいます。そうやって夢をあきらめてしまう人もいるかもしれません。でも怖さも不安も、その正体は自分自身の心のなかにあるのです。怖さの正体に向き合い、その先にあるゴールを見通せれば、きっと乗り越えるきっかけがつかめると思います。どんなときも、ほんの一歩ずつでいいから前に進んでみる。そして毎日、小さな一歩を繰り返していく。その勇気が持てたら、夢の実現にぐっと近づくことができるでしょう。(はじめにより)
怖さに負けないためには、大事なふたつのルールがあります。第一のルールは、怖さの正体を突き止めること。第二のルールは、怖さを乗り越えたときに得られるものを見通すことです。このふたつのルールを忘れずにいれば、怖さに負けずに進んでいけるはずです。(p.24)
僕は、一瞬で終わる死というできごとは怖いと感じません。死ぬとその瞬間になにもかもなくなりますが、苦しみも痛みも感じなくなるのですから、怖いと思わないのです。厳密には、僕は死ぬのが怖いのではなく、嫌だと感じていたのでした。そこで、次の疑問が立ち上がります。なぜ僕は死ぬのが嫌なのでしょう?「自分がしたかったことをできずに終わってしまうことが悔しいんだ」。そう思い当たりました。僕にとっては、死とは「恐怖」ではなく、むしろ「悔しさ」や「未練」という言葉に置き換えられるものに近かったのです。つまり「この世から自分が突然いなくなることによって、目標を成し遂げられない無念さ」が、僕が死を避けたい理由だったわけです。これに気づいたとたん、死は得体の知れないものでも、怖いものでもなくなりました。(p.34)
 

 自分がもしも死んだ場合に、何をやり残したと感じ、何に未練を感じるだろうか?

 今、自分のすべきことは何なのか?

 ちゃんと考えておかなければいけませんね。

 
後悔や未練から逃れる方法は、たったひとつしかありません。それは、いまという時間を大事にして思う存分生きることです。(p.36)

【89】佐藤 優『読書の技法』

読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門

読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門

 知力をつけるために不可欠なのが読書であるが、そのための正しい読書法を身につければ、人生を2倍ね3倍豊かにすることができる。月平均300冊、多い月は500冊以上を読破する佐藤流「本の読み方」を初公開! 大量の本を読みこなすための「多読の技法」。基本書を読みこなすための「熟読の技法」。1冊5分の「超速読」で読むべき本と必要ない本を仕分け、知識を身につけるための30分で読む「普通の速読」を使いこなす「速読の技法」。記憶を定着させるための「読書ノートの作り方」。知識の欠損部分を埋めるための「教科書・参考書」の使いこなし方。小説・漫画の読み方にいたるまで、佐藤流の本の読み方を網羅しています。
「本はどう読むか」「何を読めばいいか」「いつ、どこで読むか」が実行できれば、本物の知識を身につけるための読書の技法を自分のものにすることができます。 (内容紹介)

 

 あまりのレベルの差に開いた口がふさがることなくカラッカラに乾ききってしまいました。目からウロコというよりも、「お前は本当にダメなやつだな」と叱られた気分ですね。やはり基礎知識というやつが乏しいんでしょうね。書かれてる中身が半分も理解できないなんて。たぶん、半分寝てたからでしょう。

【88】岡田 淳『二分間の冒険』

二分間の冒険 (偕成社の創作)

二分間の冒険 (偕成社の創作)

 たった二分間で冒険?信じられないかもしれません。でもこれは、六年生の悟に本当におこったこと。体育館をぬけだして、ふしぎな黒ネコに出会った時から、悟の、長い長い二分間の大冒険が始まります。昭和六十年度うつのみやこども賞受賞。小学上級から。 (「BOOK」データベースより)


だからそのこたえはな、ゼロだ。竜がそういったとたんに、かおりがよくとおる声で、勝ちほこったようにさけんだ。「いってはならないことばをいった!」(p.195)
「だれにとっても、いちばんたしかなのは自分自身なんだわ、きっと。でもだれだって自分がたしかじゃないって思っているから、なにかべつのことやべつのもの、べつの人なんかをたしかなものって思っていたいのよね。」(p.219)
「かおり、たぶんきみのおしえてくれたこたえはまちがってないだろう。けれど、それだからこそ、ぼくの考えたこともまちがいじゃなかったと思うんだ。なぜかというと、ぼくがそう思ったからなんだ。ぼくがいちばんたしかなものなら、そのぼくがたしかだって思ったもの、みんなも、そしてきみも、ぼくにとって、きっとたしかなものなんだ。」(p.226)
ダレカが誰なのか?それが問題なんだ。普通の人ならこの二分間の体験で、あっという間に白髪になっちゃいますね。でも大丈夫、あなたはあの伝説の剣を抜いたのですから、竜を倒すために選ばれし勇者なのです。ただし、みんなには内緒ですよ。

【87】岡田 淳『びりっかすの神さま』

びりっかすの神さま (新・子どもの文学)

びりっかすの神さま (新・子どもの文学)

 木下始が、転校してきた4年1組の教室であいさつをしようとしたとき、とつぜん目のまえにすきとおった男の人が、空中を飛んでいるのが見えた。背中に小さなつばさがあった。小学中学から。(「BOOK」データベースより)

 
 常に全力を尽くせ。手加減をせず本気でやれ。一生懸命やれ。大人たちが僕らに何を伝えたかったのか今はわかります。忘れかけていた大事なことを思い出しました。がんばるって、つまり、そういうことなんですね。