じんの読書ノート

まぁ、とりあえず本でも読みましょうか。

【112】北川 恵海『ちょっと今から仕事やめてくる』

ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)

ブラック企業にこき使われて心身共に衰弱した隆は、無意識に線路に飛び込もうしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。同級生を自称する彼に心を開き、何かと助けてもらう隆だが、本物の同級生は海外滞在中ということがわかる。なぜ赤の他人をここまで?気になった隆は、彼の名前で個人情報をネット検索するが、出てきたのは、三年前に激務で自殺した男のニュースだった―。スカっとできて最後は泣ける、第21回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞”受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

「お前なあ、今の日本では、そんなにすぐに仕事辞めるなんて、無理なんだよ」

「なんで?辞表出したらそれで終いや」

「簡単に言うなよ」

「簡単なことやろ」(p.108)

 

主人公の両親との会話が逸品。

ーー元気でやっているか。

ーーうん。

ーー仕事はどうだ。

ーーうん・・・まあ・・・。

ーーそうか・・・。

親父は少し沈黙した後、こう続けた。

ーーお前はまだ若いんだ。今のうちにいくらでも失敗したらいい。(p.175)

ーーもし・・・もしだけど、俺が会社辞めたいって言ったらどうする?

ーーあーら、別にいいんじゃない?

母の答えには、戸惑いも迷いも感じられなかった。(p.177)

 

1人で悩まなくたっていいんじゃないか?

気楽にいこうぜ!