じんの読書ノート

まぁ、とりあえず本でも読みましょうか。

【69】中村 文則『去年の冬、きみと別れ』

去年の冬、きみと別れ

去年の冬、きみと別れ

 ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は、二人の女性を殺した容疑で逮捕され、死刑判決を受けていた。調べを進めるほど、事件の異様さにのみ込まれていく「僕」。そもそも、彼はなぜ事件を起こしたのか?それは本当に殺人だったのか?何かを隠し続ける被告、男の人生を破滅に導いてしまう被告の姉、大切な誰かを失くした人たちが群がる人形師。それぞれの狂気が暴走し、真相は迷宮入りするかに思われた。だが―。日本と世界を震撼させた著者が紡ぐ、戦慄のミステリー! (「BOOK」データベースより)

 構成や着想がおもしろい、ゆえに、残念。

 じゃじゃーん的な安っぽいミステリーに唇を噛む。

 著者特有の狂った人間描写と吐き気がするほど陰鬱なカラーが今回は不発。

 もっとちょうだい。

去年の冬、きみと別れ、僕は化物になることに決めた。僕は僕であることをやめてしまった。彼らに復讐するために、僕はそこで、壊れてしまったんだよ。(p.170)