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じんの読書ノート

まぁ、とりあえず本でも読みましょうか。

【43】ジョゼ・サラマーゴ『白の闇』

白の闇

白の闇

ある男が突然、失明した。視界がまっ白になる病気。原因不明のまま、伝染病のように感染は広がってゆく。政府はかつての精神病院を収容所にして、患者の隔離をはじめる。そこでは、秩序が崩壊し、人間の本性がむきだしになってゆく。阿鼻叫喚の世界。やがて国中が目の見えなくなる病気に侵されて…。圧倒的な空想力で描かれる現代の寓話。ヨーロッパで最も独創的な作家の衝撃的作品。1998年ノーベル文学賞受賞者・サラマーゴの最高傑作。 (「BOOK」データベースより)

「もし、われわれが全員失明したらどうなる?」彼はこう答えました。「だけど、われわれは実際にはみんな盲目じゃないか!」

作者のジョゼ・サラマーゴはこのテーマを『白の闇』で見事に表現しています。

目が見えることを前提として考えられ、つくられた文明社会、そのなかで暮らす我々全員が失明する状況に陥ったら、果たしてどんなことが起きるのか?

人間の精神が裸にされ、理性や感情が極限まで追い詰められ、互いに持つべき尊重の念を失ったとき、悲劇から地獄へと移り変わる。

 どうしてわたしたちは目が見えなくなったのかしら。わからない。いつかわかる時が来ると思うが。わたしの考えを言ってほしい?言ってくれ。わたしたちは目が見えないのよ。目が見えないのに、見ていると?目が見える、目の見えない人びと。でも、見ていない。(p.356)