【37】サンテグジュペリ『星の王子さま』
- 作者: アントワーヌ・ドサン=テグジュペリ,Antoine de Saint Exup´ery,池沢夏樹
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/08/26
- メディア: Perfect
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沙漠の真っ只中に不時着した飛行士の前に、不思議な金髪の少年が現れ「ヒツジの絵を描いて…」とねだる。少年の話から彼の存在の神秘が次第に明らかになる。バラの花との諍いから住んでいた小惑星を去った王子さまはいくつもの星を巡った後、地球に降り立ったのだ。王子さまの語るエピソードには沙漠の地下に眠る水のように、命の源が隠されている。生きる意味を問いかける永遠の名作の新訳。(「BOOK」データベースより)
6年前にサハラ沙漠で飛行機が故障。ぼくは自分一人で修理しなくちゃならない。死ぬか生きるかの状況。最初の晩、砂の上で眠る。夜明けにおかしな声で目が覚める。「すみません、ヒツジの絵を描いて」こんな風にして、ぼくは王子さまと知り合った。
まるで禅問答のようなヒツジの箱のくだりは、なかなかくすぐる。何度描いてもヒツジの絵に満足してくれない王子にぼくは箱の絵を描いてこう言う。「きみのヒツジはこの中にいるよ」
一休さんの「将軍さま、絵の中のトラを追い出して下さい。さすれば私がトラを縄で縛って差し上げます」みたいな。
花の言うことは聞いてはいけないんだよ。ただ眺めて、香りを楽しんでいればいいんだ。(p.45)
むやみに触れるとトゲが刺さるんだよ。
キツネがこんなこと言ってた。
「じゃ秘密を言うよ。簡単なことなんだ−−−ものは心で見る。肝心なことは目では見えない」(p.104)
「きみがバラのために費やした時間の分だけ、バラはきみにとって大事なんだ」(p.104)
「人間たちはこういう真理を忘れてる」「でもきみは忘れちゃいけない。飼い慣らしたものには、いつだって、きみは責任がある。きみは、きみのバラに責任がある…」
すべてにおいて、それに関わってしまったり、繋がってしまったり、つまり、「飼い慣らして」しまったら、そのことに対する責任がある。逃げてはダメなんだ。結果が良かろうが悪かろうが全うするべきなんだ。それに費やした時間こそが大切なんだ。