じんの読書ノート

まぁ、とりあえず本でも読みましょうか。

【30】ロバート・B・パーカー『初秋』

初秋 (ハヤカワ・ノヴェルズ)

初秋 (ハヤカワ・ノヴェルズ)

 

離婚した夫が連れ去った息子を取り戻してほしい。―スペンサーにとっては簡単な仕事だった。が、問題の少年、ポールは彼の心にわだかまりを残した。対立する両親の間で駆け引きの材料に使われ、固く心を閉ざして何事にも関心を示さない少年。スペンサーは決心する。ポールを自立させるためには、一からすべてを学ばせるしかない。スペンサー流のトレーニングが始まる。―人生の生き方を何も知らぬ少年と、彼を見守るスペンサーの交流を描き、ハードボイルドの心を新たな局面で感動的に謳い上げた傑作。 (「BOOK」データベースより)

私立探偵スペンサーシリーズの第7作目。著者のロバート・B・パーカーが二人の息子、デイヴィッドとダニエルに捧げた作品。この小説の大半は、15歳の少年ポールを親元から自立させるためにスペンサーが尽力する物語。スペンサーと行動を共にすることでいろんな経験をし、ポールが心も体も成長していく姿をあの頃の自分と重ね合わせる。そして今の自分に問いかけてみる。「少しはタフになれただろうか?」

男がコケにされずに生きていくのは、スペンサーがそうであったように簡単なことではない。時には躰が震えることもある。泣きたいこともある。だが男はいつかはそういう社会に出ていかねばならない。父親の庇護のもとで過ごす幸福な子供時代に別れを告げて、男はきびしい冬の季節にたったひとりで入っていかねばならない。スペンサーがそうしてきたように、今度はポールの番なのである。(解説より)

著者ロバート・B・パーカーは読者にエールを送る「息子たちよ、たくましく生きろ」。

今はまだ、厳しい冬(社会)を乗り越えるまえの初秋なんだ。