じんの読書ノート

まぁ、とりあえず本でも読みましょうか。

【11】ビル・オライリー&マーティン・デュガード『ケネディ暗殺50年目の真実』

ケネディ暗殺 50年目の真実 KILLING KENNEDY

ケネディ暗殺 50年目の真実 KILLING KENNEDY

1961年1月の大統領就任から、わずか2年10ヵ月で命を絶たれるJFK。その激動の1037日間を、犯人オズワルドの数奇な人生と交錯させながら、ノンストップで詳述していく。第二次大戦中、日本軍にあわや殺されかけた海軍将校時代。ホワイトハウスの中で連日繰り広げられた、幾多の女性との情事。そして暗殺事件の全真相…。陰謀論を排し、事実のみで構成したミステリー小説のような面白さ!!(「BOOK」データベースより)

邦題に惹かれて、暗殺の真実が明らかになることを期待しながら読んでいくとガックリ肩透かしにあう。これといった目新しい発見があるわけじゃなし、オズワルド単独犯行説か複数犯行だとする陰謀説かどちらかには変わりはない。この本はただ淡々と「ケネディとジャクリーンとオズワルドとその仲間たち」の日常をあたかもその場にいたかのような臨場感でお届けしている。本当かどうかはマユツバ。ケネディの中毒ともいえる女性関係の話は凄まじい。しかしこの本を読んでケネディ大統領の印象はガラリと変わったのは皮肉にも邦題の通り真実。

テキサス州ダラス市、1963年11月22日金曜日午後12時30分。ジョン・フィッツジェラルドケネディは凶弾に倒れた。あの映像が頭に浮かぶ。地元ダラスの婦人服製造業者のエイブラハム・ザプルーダーが撮影した、いわゆる「ザプルーダー・フィルム」。

その映像を、今から10年前のテレビの特番でポーランド国家警察が検証すると数々の事実が判明する。晴れの日に黒いコウモリ傘をさす男通称「アンブレラマン」の存在。手薄な警備と銃声が鳴り響く中全く動かない護衛たち。それに、なんと3箇所の位置から3種類のライフル銃で合計5発発射されているというのだ。3発目はカルカノと呼ばれるイタリア製ライフル銃から発射されておりオズワルドが使用したものとされている。他の4発は口径の異なるドイツ製ライフル2丁から発射されている。つまり、狙撃手は3人いたことになるのだ。1発目の発射場所はオズワルドのいた教科書ビル6階ではなく2階から発射されており銃弾はケネディの背中から首を撃ち抜く、2発目は車の進行方向の正面に位置する陸橋から発射されるが標識の看板に当たる。3発目は教科書ビルの6階から発射されるがケネディの前に座っていたコナリー知事の背中と右手首を撃ち抜き左足に止まる。4発目と5発目はほぼ同時に陸橋の上と教科書ビルの2階から発射された。4発目はケネディの頭部に、5発目は外れて見物人をかすめた。

オズワルドは語る。「自分はただの身代わりだ」と。

バー・マクレラン著『血と金と権力』でジョンソンの相談役だった著者がケネディ暗殺はジョンソンの陰謀だと述べている。教科書ビルに残された指紋がジョンソン副大統領と親交があったマック・ウォレスという狙撃犯のものと断定している。

事件から2時間8分後、血に染まったスーツを着たジャクリーンの横でジョンソンは自ら大統領になる宣誓をした。この時撮られた数枚の写真の中にジョンソンに向けてウインクする一人の男がいた。

ケネディ亡き後、アメリカはベトナム戦争に突入、泥沼化する。私腹を肥やしたのは軍事産業。解体されかけていたCIAは息を吹き返し、ケネディにクビにされた元長官アレン・ダレスはウォーレン委員会に名を連ねた。